衝動制御障害と行動嗜癖に関するICD-11分類の精神保健専門家の使用: 国際フィールド調査

  • Fuss, J., Keeley, J. W., Stein, D. J., Rebello, T. J., García, J. Á., Briken, P., Robles, R., Matsumoto, C., Abé, C., Billieux, J., Grant, J. E., Kraus, S. W., Lochner, C., Potenza, M. N., & Reed, G. M. (2024). Mental health professionals’ use of the ICD-11 classification of impulse control disorders and behavioral addictions: An international field study. Journal of Behavioral Addictions. https://doi.org/10.1556/2006.2023.00083

背景と目的 ICD-11の精神・行動・神経発達障害の章には、強迫性性行動障害(CSBD)、間欠性爆発性障害(IED)、ゲーム性障害などの新たな診断項目が追加され、議論を呼んでいる。このフィールド研究では、CSBDやIEDを含む衝動制御障害、ゲーム障害を含む嗜癖行動による障害に対する新しいICD-11の診断要件を適用するための精神保健専門家(MHP)の能力を、ヴィネットベースの方法論を用い、以前のICD-10ガイドラインと比較して検討した。

方法 WHOのGlobal Clinical Practice Networkのメンバー(N=1,090)が、ICD-11とICD-10の診断ガイドラインの主な相違点を検証するためにデザインされた標準化された症例記述について、11の比較を行った。

結果 衝動制御障害と行動嗜癖の診断精度において、ほとんどの比較でICD-11がICD-10を上回ったが、ICD-10はどの比較においても優れていなかった。ICD-11の優位性は、分類体系に新しい診断が追加された場合や、大幅な改訂が行われた場合に特に明らかであった。しかし、ICD-11がICD-10を上回ったのは、精神保健の専門家が報酬行動への関与が病的でない症例を評価するよう求められた少数派の比較においてのみであった。

考察と結論 全体として、本研究は、ICD-11の診断要件がICD-10のガイドラインよりも改善されていることを示している。しかしながら、反復的で報酬的な行動に高度に関与しているが、障害の閾値に満たない人々の過剰診断を避けるためには、MHP向けの研修プログラムや診断指針の改良の可能性など、さらなる努力が必要である。