ゲーム行動症の診断と分類におけるゲーム関連課題の効果

  • Choi, J., Choi, Y., Jung, Y.-C., Lee, J., Lee, J., Park, E., & Kim, I. Y. (2024). Effects of Game-Related Tasks for the Diagnosis and Classification of Gaming Disorder. Biosensors, 14(1), 42. https://doi.org/10.3390/bios14010042
ゲーム行動症(GD)は、ビデオゲームをプレイしたいという飽くなき欲求を特徴とする嗜癖行動であり、認知機能の低下による自制心の不全と症状が類似している。現在のGDの診断およびスクリーニングツールは、日常生活における自己制御能力を評価するために、認知機能に関する質問票や行動観察に依存している。しかし、現在のGDスクリーニング・アプローチは自覚症状に依存しており、信頼できる診断には長期にわたる臨床経過観察が必要である。最近の研究では、GD診断に客観性を与え、すぐに結果を得るために、認知機能課題とともに生体信号を測定している。しかし、GD患者はゲーム関連の手がかりに過敏であるため、刺激の種類によって反応が異なり、刺激に対する反応の差が生体信号の変化の程度の差として現れる可能性がある。したがって、GD診断タスクを行う際には、刺激の種類を正しく選択することが重要である。本研究では、GDにおける認知機能低下の課題依存性を、2つの認知機能課題、すなわち連続的パフォーマンス課題(CPT)とビデオゲームプレイを比較することによって検討した。本研究では、69名の若年成人男性をゲーム行動症群(GD、n=39)と健常対照群(HC、n=30)に分類した。CPTスコア、脳波信号(シータ、アルファ、ベータ)、HRV-HFパワーを評価した。オンラインビデオゲームプレイ中、GD群とHC群の間で脳の左前頭葉領域(LF)に違いが観察された。また、GD群では、CPTとオンラインビデオゲームとの間で、HRVのHFパワーに有意差が認められた。さらに、LFとHRV-HFはYoung’s Internet Addiction Test(Y-IAT)スコアと有意に相関し、Young’s Internet Addiction Test(Y-IAT)スコアは衝動性スコアと正の相関を示した。LFおよびHRV-HFのシータバンド活動の変化量(いずれも認知機能の変化のバイオマーカー)は、オンラインビデオゲームプレイ中に、GD患者がHCと比較してタスク依存性の認知機能低下を示すことを示唆している。この結果は、ゲームにおける個人の自己調節能力を定量化することの可能性を示すとともに、GDの分類におけるその重要性を強調するものである。