青年期における心理的柔軟性とインターネットゲーム障害との関係 うつ病と不適応認知の媒介効果

  • Yang, X., Ebo, T. O., Wong, K., & Wang, X. (2023). Relationships between psychological flexibility and internet gaming disorder among adolescents: Mediation effects of depression and maladaptive cognitions. PLOS ONE, 18(2), e0281269. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0281269

心理的柔軟性は、適応的で柔軟な感情や認知のプロセスによって嗜癖的な行動を減らす可能性がある。本研究では、心理的柔軟性がインターネットゲームに関連するうつ病や不適応な認知を軽減し、ひいてはIGDのリスクを低下させるという、インターネットゲーム障害(IGD)の媒介モデルを検証した。2021年3月から11月にかけて、中国・香港の7校の中等1~4年生2102名を対象に横断調査を実施した。その結果、生徒の12.7%がIGDの可能性があり、52.2%がうつ病の可能性があると分類された。提案された媒介モデルは、χ2/df = 8.00、CFI = .99、NNFI = .99、RMSEA = .01とデータによくフィットした。心理的柔軟性の欠如は,IGDと直接的かつ正の相関を示し(B = .01,β = .07,p = .003),抑うつ症状(B = .01,β = .07,p = .001,PM = 23.7%), 不適応認知(B = .03,β = .15,p = .001,PM = 50.8) を通じて間接的かつ正の相関を示した。マルチグループ分析では、性別が心理的柔軟性の低さと不適応な認知との関連を有意に緩和した(Δχ2/Δdf = 8. 69/1, p < .05)、不適応認知とIGDの間(Δχ2/Δdf = 4.33/1, p < .05)、心理的柔軟性とIGDの間(Δχ2/Δdf = 5.46/1, p < .05)。うつ病と不適応認知は、心理的柔軟性とIGDの関係を説明しうる重要なメディエーターである可能性がある。また、性差も存在する可能性がある。これらの知見に基づき、IGD低減のための介入戦略について考察する。