インターネットゲーム障害は若年層の自殺行動と関連するか?大規模な目的別サンプリング調査における多重ロジスティック回帰の検討

  • Junus, A., Hsu, Y., Wong, C., & Yip, P. S. F. (2023). Is internet gaming disorder associated with suicidal behaviors among the younger generation? Multiple logistic regressions on a large-scale purposive sampling survey. Journal of Psychiatric Research, S0022395623001073. https://doi.org/10.1016/j.jpsychires.2023.02.038

インターネットゲームが若い世代(11~35歳)のライフスタイルの一部として定着している今日、彼らのメンタルヘルスに与える影響について深く理解することが必要である。特に、インターネットゲーム障害(IGD)は、後者の危険因子として知られているにもかかわらず、この層におけるインターネットゲーム障害と自殺行動の関連性を調査する研究はほとんどない。本論文は、若い世代におけるIGDと自殺念慮、自傷行為、自殺未遂のそれぞれとの関連性の有無を明らかにすることを目的としている。2019年2月に、香港のインターネットゲーマーに関する大規模なオンライン調査を実施した。3430人の回答者が、目的別サンプリングにより募集された。研究サンプルを明確な年齢グループに層別化し、各年齢グループにおいて測定された自殺行動ごとに多重ロジスティック回帰を実施した。社会人口統計学、インターネット利用、自己申告によるいじめ加害やいじめ被害、社会的引きこもり、自己申告によるうつ病や精神病などの精神科診断をコントロールした後、分析を行ったところ、IGDを持つ思春期(11~17歳)のゲーマーは、IGDを持たない同世代のゲーマーに比べて、生涯において自殺念慮、自傷、自殺企図の経験がある確率は高いことがわかった。これらの関連は、18~35歳のゲーマーには当てはまらなかった。この結果は、IGDが若者、特に青少年の精神衛生上の優先事項として認識されることが賢明であることを示唆している。既存の自殺予防の取り組みは、青少年のIGDスクリーニングによって補完することができ、オンラインゲームプラットフォームに拡大することで、より隠れたリスクのある人々にアプローチすることができる。