中国における出稼ぎ工場労働者の職務ストレス、心理的適応とインターネットゲーム障害の関係。否定的な情動状態の媒介について

  • Cao, H., Zhang, K., Ye, D., Cai, Y., Cao, B., Chen, Y., Hu, T., Chen, D., Li, L., Wu, S., Zou, H., Wang, Z., & Yang, X. (2022). Relationships Between Job Stress, Psychological Adaptation and Internet Gaming Disorder Among Migrant Factory Workers in China: The Mediation Role of Negative Affective States. Frontiers in Psychology, 13, 837996. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.837996

工場労働者は中国の国内移民の大きな割合を占めており、仕事ストレスや適応ストレス、負の感情状態(うつ病や不安など)、インターネットゲーム障害(IGD)に高い影響を受けやすいと考えられる。本断面研究では、2019年10月から12月にかけて層別多段抽出で募集した工場労働者1,805名を対象に、職務ストレス、心理的適応、負の感情状態、IGDとの関係を調査した。提案された媒介モデルを検証するために構造方程式モデリング(SEM)を実施した。参加者のうち、67.3%が男性で、71.7%が35歳以下であった。確率的うつ病、確率的不安、IGDの有病率は、39.3%、28.7%、7.5%であった。男性であること、年齢が若いこと、深圳に住んでいる期間が短いことは、IGDのスコアが高いことと関連していた。仕事のストレスはIGDと有意に関連したが(β=0.11、p=0.01)、否定的感情状態とは関連しなかった(β=0.01、p=0.77)。心理的適応は、負の感情状態(β=-0.37、p<0.001)と有意に関連したが、IGD(β=0.09、p>0.05)には関連しなかった。負の感情状態はIGDと正の相関があった(β=0.27、p<0.001)。心理的適応(β = -0.10, p = 0.004)ではなく、職務ストレス(β = 0.003, p = 0.77)が負の情動状態を介してIGDに及ぼす間接効果は、統計的に有意であった。観察された心理的相関とメカニズムは修正可能であり、この集団におけるうつ病、不安症、IGDに対するエビデンスに基づく予防プログラムの設計に役立てることができる。