プレイヤーとアバターの濃密な関係を築き、肉体から切り離された感覚を覚える。虚無感を訴える人がインターネットゲーム障害に至る道筋は?

  • Casale, S., Musicò, A., Gualtieri, N., & Fioravanti, G. (2022). Developing an intense player-avatar relationship and feeling disconnected by the physical body: A pathway towards internet gaming disorder for people reporting empty feelings? Current Psychology. https://doi.org/10.1007/s12144-022-03186-9

文献によると、アレキシサイミアと空虚感は様々な嗜癖行動の危険因子となり得ることが示唆されている。本研究では、虚無感や感情識別の困難さから、ゲーマーとアバターの濃密な関係や身体的解離体験を経て、インターネットゲーム障害(IGD)の症状に至る経路を提案するモデルを構築し、検証した。アバタービデオゲームを利用するオンラインゲーマー285名(男性64.2%、平均年齢30.38±7.53歳)をゲームコミュニティから募集し、トロント・アレキシサイミア尺度、主観的虚無感尺度、身体接続尺度、自己存在質問票、インターネットゲーム障害尺度-短編を含む調査票への協力を依頼しました。評価された構造モデルは、データに対して良好な適合性を示した[χ2 = 175.14, df = 55, p < .001; RMSEA = 0.08 (90% C.I. =0.07-0.09), CFI = 0.96, SRMR = 0.08] が、全体の分散の28%を説明した。アレキシサイミアは、ゲーマーとアバターの関係や身体解離の系列媒介を通じて、間接的にIGDと関連していた。虚無感は二変量レベルではIGD症状と関連していたが、直接的にも間接的にもIGDを予測しなかった。本研究は、異なる研究ラインを統合することにより、IGDに至る潜在的な経路を特定し、IGDの文脈において、自分の感情を認識し表現することの難しさ、ゲーマーとアバターの関係、心と身体のつながりなどの側面を考慮することの重要性を示している。