ゲーミング障害における情動情報の反応抑制への影響。Go/Nogoタスクによる行動とERPのエビデンス

  • Chen, Y., Yu, H., & Gao, X. (2022). Influences of Emotional Information on Response Inhibition in Gaming Disorder: Behavioral and ERP Evidence from Go/Nogo Task. International Journal of Environmental Research and Public Health, 19(23), 16264. https://doi.org/10.3390/ijerph192316264

背景 ゲーミング障害(GD)は、反応抑制などの実行機能に障害をもたらす可能性がある。三部構成の神経認知モデルによれば、相互受容系が渇望の状態を生成し、GDの機能障害を悪化させるとされている。我々は、GD患者において反応抑制が損なわれるメカニズムには、感情情報が重要な役割を担っていると推測している。方法 このgo/nogo課題では、3因子混合実験計画を採用した。被験者間因子は群(GD群または対照群)、被験者内因子は2種類の感情情報、課題関連性(関連または非関連)、感情価(否定または肯定)であった。結果 GD群は対照群に比べ、タスク非関連条件およびネガティブ条件において、ノゴの精度が低かった。また、タスクと無関係なネガティブ条件では、GD群はコントロール群よりも反応が速く、ゴー試行の精度が低かった。神経レベルでは、課題非関連条件において、GD群は対照群に比べ、nogo-N2の振幅が小さく、nogo-P3の振幅が大きくなっていた。結論 本研究結果は、感情情報がGD者の反応抑制の障害をもたらす要因になりうるという本研究の仮説を証明するものである。GDの反応抑制能力は、課題と無関係な情報やネガティブな情報を処理する際に弱まり、その原因は、行動抑制の失敗や葛藤制御の弱まり、その結果、特定の条件下で反応抑制を完了するための認知資源が多くなることであると思われる。本研究は、認知-情動相互作用の観点からGD者の反応抑制が弱いことの根拠を示し、GDへの介入に向けたより詳細な情報を提供するものである。