喫煙とインターネットゲーム障害の脳機能ネットワークにおける参加係数への相互変調

  • Qiu, X., Han, X., Wang, Y., Ding, W., Sun, Y., Lei, H., Zhou, Y., & Lin, F. (2022). Reciprocal modulation between cigarette smoking and internet gaming disorder on participation coefficient within functional brain networks. Brain Imaging and Behavior, 16(5), 2011–2020. https://doi.org/10.1007/s11682-022-00671-4

インターネットゲーム障害(IGD)と喫煙の関連は多くの報告で指摘されている。しかし、喫煙とIGDの共存のメカニズムや、喫煙とIGDが脳機能ネットワークのトポロジー構成に相互作用を及ぼすかどうかについては、まだ不明である。そこで、健常対照者60名、喫煙者46名、IGD者38名、喫煙者と共存するIGD者34名について、安静時脳機能ネットワークにおける喫煙とIGDの相互作用を検討した。機能ネットワークのモジュール構造を調べ、モジュール間のコミュニケーションにおける各脳部位の重要性を参加係数participation coefficient (Pc)で特徴付けた。IGDの有意な主効果は、左上前頭回、両上前頭回内側、両後帯状回に認められ、IGD群では非IGD群に比べPcが小さかった。喫煙とIGDの有意な相互作用は、左後眼窩回、右外側眼窩回、左上大脳回、左中側頭回、左下側頭回で認められた。これらの脳領域における相互作用は、喫煙者またはIGD患者では有意差なしまたは有意にPcが減少する一方で、IGDまたは喫煙の影響下で喫煙と共存する群では有意にPcが増加するという特徴を有していた。この結果は、喫煙とIGDの神経生理学的メカニズムの根底にある貴重な情報を提供するとともに、喫煙とIGDの合併症の将来の臨床治療のターゲットとなる可能性を示している。