リスクテイクの神経基盤における性差。インターネットゲーム障害に対する性特異的脆弱性の意味するところ

  • Wang, L., Zheng, H., Wang, M., Chen, S., Du, X., & Dong, G.-H. (2022). Sex differences in neural substrates of risk taking: Implications for sex-specific vulnerabilities to internet gaming disorder. Journal of Behavioral Addictions, 11(3), 778–795. https://doi.org/10.1556/2006.2022.00057

概要
背景と目的
インターネットゲーム障害(IGD)の性差は不明なままである。IGDの中核的な危険因子であるリスクテイクの背景にある性差的な神経特性を調べることは、IGDに対する性差的な脆弱性を理解し、IGDの性差的な治療や予防を進めるのに役立つと考えられる。

調査方法
111名(IGD男性28名、IGD女性27名、レクリエーションゲームユーザー(RGU)男性26名、RGU女性30名)がfMRIスキャン中に確率割引課題を実施した。

結果
まず、RGUでは、男性は女性よりもリスクテイク傾向が高く、リスク・価値評価と報酬に関連する神経活動(腹内側前頭前皮質(vmPFC)、前帯状皮質(ACC)、左被殻)が大きく、認知制御に関連する神経活動(下前頭回)は小さいことが示された。さらに、男性は女性よりもvmPFC/ACCから左被殻への接続に対する危険な選択の調節効果が大きいことが示された。第二に、IGDの男性はRGUの男性に比べてvmPFC/ACCと左被蓋の活性化が減少したが、IGDの女性にはこの減少がなかった。

考察
男性は女性よりも高いリスクテイク傾向を示す。危険な意思決定に関連する神経基盤の変化は、IGD男性に存在するが、IGD女性には存在しない。

結論
今回の結果は、女性のIGDの基盤となる行動および神経基盤に関する情報のギャップを埋め、高いリスクテイク傾向はIGD男性のみの危険因子および中核症状であり、IGD女性にはないことを証明するものであった。IGDの治療と予防のために、男性と女性で異なる戦略を立案し、採用することが必要である。