日本におけるIGDの臨床診断に基づく10項目からなるインターネットゲーム障害テスト(IGDT-10)の妥当性

  • Mihara, S., Osaki, Y., Kinjo, A., Matsuzaki, T., Nakayama, H., Kitayuguchi, T., Harada, T., & Higuchi, S. (2022). Validation of the Ten-Item Internet Gaming Disorder Test (IGDT-10) based on the clinical diagnosis of IGD in Japan. Journal of Behavioral Addictions. https://doi.org/10.1556/2006.2022.00070

概要
背景と目的
10項目のインターネットゲーム障害テスト(IGDT-10)は日本語に翻訳され、広く使用されているが、日本語版の検証はこれまで行われていない。そこで、IGDの臨床診断をゴールドスタンダードとして、日本語版テストの検証を行った。

検証方法
日本語版は、日本の一般的な若年層から抽出された244名のゲーマーを用いて検証された。インターネットゲーム障害に関する構造化臨床面接日本語版を用いて専門家による面接を行い、インターネットゲーム障害(IGD)の診断を行った。その結果、ゴールドスタンダード群に分類される8名がIGDと診断された。原著論文で提案された採点方法(オリジナル版)と、「よくある」「ときどきある」のいずれかを肯定とみなす採点方法(修正版)の、採点条件の異なる2つの日本語版について、スクリーニング性能を検討した。

結果
感度・特異度分析、Cronbachのアルファ値、および受信者動作特性分析の結果、オリジナル版に対して修正版の方がより高いスクリーニング性能を示した。改良版の最適なカットオフ値は5以上であり、感度、特異度、Youdenの指数はそれぞれ87.5、85.2、72.7%であった。また,オリジナル版と修正版におけるprobable IGDの割合は,それぞれ1.8%と11.3%であった。

考察と結論
日本版IGDT-10では、より厳密でない採点方法により、オリジナル採点方法よりも高いスクリーニング能が示された。今後、異なる民族やゲーム文化圏からなる研究において、提案された採点方法をさらに検討する必要がある。