中国の青少年におけるネットいじめとインターネットゲーム障害。青少年育成のためのポジティブな属性が果たす役割

  • Xiang, G.-X., Zhang, Y.-H., Gan, X., Qin, K.-N., Zhou, Y.-N., Li, M., & Jin, X. (2022). Cyberbullying and internet gaming disorder in Chinese youth: The role of positive youth development attributes. Frontiers in Public Health, 10, 1017123. https://doi.org/10.3389/fpubh.2022.1017123

はじめに デジタルネイティブである若者は、インターネットの便利さと恩恵を享受する一方で、ネットいじめやインターネットゲーム障害(IGD)など、この年代特有の発達上の問題にも悩まされている。これらのネット上の問題行動は、高い普及率と様々な悪影響を享受していることが研究により示唆されている。本研究では、青少年のポジティブな発達(PYD)の観点から、ネットいじめとIGDの関連性、および潜在的な保護要因を探ることを試みる。

方法 コンビニエンスサンプリング法により、中国の青少年463名をサンプルとして募集し、調査に参加させた。彼らは、PYDの属性、ネットいじめ、IGD、人口統計学的情報についてのアンケートに回答した。

結果 青少年の性・年齢を統制した後、回帰分析の結果、ネットいじめはIGDと正の相関を示し、PYD属性はネットいじめとIGDに負の累積効果を示し、ネットいじめとIGDはPYD属性と負の相関を示した。さらに、ネットいじめとIGDの関係では、PYD属性の媒介効果が有意であった。

考察 具体的には、あるネット上の問題行動を経験した青年が、別の問題行動に悩まされる可能性は非常に高い。幸いなことに、ポジティブな個人属性は、この連鎖的な効果を効果的に緩衝することができた。これらの知見は、青年期のいじめやIGDを予防・軽減するために、PYD属性を改善することが有望なアプローチであることを、実践者に理論的・実践的な指針を与える可能性がある。