スマートフォン嗜癖尺度保護者版(SASC-P)の開発と検証

  • Rajendhiran, G., Ramasubramanian, V., Bijulakshmi, P., Mathumathi, S., & Kannan, M. (2021). Development and Validation of the Smartphone Addiction Scale for Children- Parent Version (SASC-P). JOURNAL OF CLINICAL AND DIAGNOSTIC RESEARCH. https://doi.org/10.7860/JCDR/2021/48398.15098

はじめに 子どもや青少年のスマートフォン利用は、過去10年間で着実に増加しており、保護者や医療従事者の懸念材料となっている。スマートフォンの過度な使用は、学業成績の低下や社会的・個人的環境の障害につながる嗜癖行動を起こしやすくする可能性がある。この問題に対処するためには早期発見が重要だが、成人のスマートフォン嗜癖を測定する尺度は存在するものの、子どものスマートフォン使用を客観的に測定する尺度は存在しない。

目的:保護者にも実施可能な子ども向けスマートフォン嗜癖尺度を構築すること。

材料と方法 子どものスマートフォン嗜癖を評価するためのステートメント群を作成した。当初、内容妥当性と顔面妥当性を確認した上で43文を選択し、保護者のインフォームドコンセントを得た上で、3~17歳の子どもの保護者に尺度を実施した。構成概念妥当性は探索的因子分析によって検討した。相関行列の順序付き固有値のスクリーンプロットは、抽出された因子の適切な数を決定するために使用された。因子負荷が0.30以上であれば、各因子の項目が決定された。テスト・リテスト信頼性のためにクラス内相関を、内部一貫性のためにクロンバックのアルファを計算した。最終的な質問項目はスマートフォン嗜癖の6つのサブドメインにわたる24の記述からなり、3~17歳の子どもを持つ65人の保護者からなる小規模サンプルグループに実施し、そのデータを用いて尺度の信頼性と妥当性の検証を行った。

結果 Smartphone Addiction Scale for Children-Parent(SASC-P)のα相関は0.670から0.823の範囲であった。また、Cronbachのαを用いて領域に対する内在的妥当性を算出したところ、領域については0.819から0.907、質問紙全体については0.972であった。このように、本尺度は小児および青年に用いるには信頼性が高く、妥当であることが判明した。