スマートフォン嗜癖を有する大学生の抑制性制御に及ぼす急性有酸素運動の影響

  • Fan, H., Qi, S., Huang, G., & Xu, Z. (2021). Effect of Acute Aerobic Exercise on Inhibitory Control of College Students with Smartphone Addiction. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, 2021, 1–9. https://doi.org/10.1155/2021/5530126

背景 抑制制御の障害は、スマートフォン嗜癖の重要な原因の一つであると考えられる。これまでの研究で、急性有酸素運動が抑制性制御を改善する可能性があることが示されている。しかし、急性期の運動が抑制性制御にどのような影響を与えるかについては、まだ研究が不十分である。本研究では、スマートフォン嗜癖を持つ大学生を対象に、3種類の運動強度の急性有酸素運動が、反応抑制や干渉制御などの抑制制御機能の変化に及ぼす影響を検討した。方法 スマートフォン嗜癖のある参加者(n=30、年齢20.03±0.96歳)を大学生の携帯電話嗜癖傾向尺度により特定し、15名ずつ研究1と研究2に無作為に割り付けた。研究1の15名には反応抑制を調べるためにGo/NoGo課題を、研究2の他の15名には干渉制御を調べるためにフランカー課題を実施した。研究1と2の参加者は、低、中、高の運動強度の3つのグループ(各5名)にランダムに割り当てられた。個人反応抑制と干渉制御は、それぞれ30分の急性有酸素運動前と後に測定された。結果 研究1では、急性有酸素運動30分後のNoGo刺激の精度は有意に上昇し(p≦0.001)、Go刺激の反応時間(RT)は有意に短縮した(p≦0.001)。NoGo刺激の正確さ(p=0.012)とGo刺激のRT(p≦0.001)については、中強度群で最も大きな変化が生じた。研究2の結果では、3群とも運動後の有意な変化は見られなかった。結論 30分間の急性有酸素運動は、スマートフォン嗜癖のある大学生において、反応抑制の変化を効果的に引き出すことができた。スマートフォン嗜癖のある大学生において、急性有酸素運動の中強度で最も大きな改善効果が見られた