- Yu, J., Abdullah, M. F. I. L., & Mansor, N. S. (2024). EEG components of inhibitory control ability in internet gaming disorder: A systematic review and meta‐analysis of randomized controlled trials. Brain and Behavior, 14(1), e3388. https://doi.org/10.1002/brb3.3388
背景 抑制的制御能力は、個人が衝動や行動を目標指向的に制御することを可能にする重要な認知機能である。しかし、インターネットゲーム障害(IGD)の有病率の増加に伴い、過度のゲームが抑制的制御能力に及ぼす影響についての懸念が高まっている。このテーマに関するエビデンスが蓄積されているにもかかわらず、IGD患者が健常対照者よりも抑制制御能力が劣っているかどうかに関する研究結論は依然として一貫しておらず、有効な脳波学的予測指標がないことがこの問題をさらに複雑にしている。この研究ギャップを解決するために、本研究では、N2事象関連電位(ERP)およびP3 ERP成分が、IGD患者における抑制制御能力の信頼できる指標となりうるかどうかを検討することを目的とした。
方法 この目的を達成するため、Web of Science、ScienceDirect(EBSCO)、SpringerLink、PubMed、Wiley Online Libraryなど複数のデータベースで系統的な文献検索を行った。メタアナリシスに含まれる研究の質を保証するため、包含基準は厳密に実施された。最終的に、IGDと診断された139人と健常対照者139人を対象とした合計5件の研究が解析に組み入れられた。
結果 メタ解析の結果、IGD患者ではN2およびP3振幅の効果量が大きく、これら2つのERP成分が抑制性制御能力の潜在的な指標となりうることが示された。特に、N2およびP3振幅は、健常対照群よりもIGD者で有意に大きかったことから、IGD群では抑制性制御機能に障害があり、衝動性が亢進していることが示唆された。抑制制御課題では、IGD群は衝動的な反応を抑制するためにより多くの認知的資源を必要とした。
結論 全体として、このメタアナリシスの結果は、IGD患者における抑制性制御能力の信頼できる指標としてN2およびP3振幅を用いる可能性に光を当てた。この結果は、IGDにおける抑制性制御障害の根底にある神経メカニズムに関する重要な洞察を提供し、この疾患に対する効果的な介入の開発に役立つ可能性がある。これらのERP成分の機能的意義と、IGDの診断と治療における臨床応用の可能性を探るために、さらなる研究が必要である。