うつ病とインターネットゲーム障害のメタ認知メカニズムに関する3波にわたる縦断的研究

  • Dang, L., Yang, H. M., Spada, M. M., & Wu, A. M. S. (2024). A three-wave longitudinal study on the underlying metacognitive mechanism between depression and Internet gaming disorder. Journal of Behavioral Addictions. https://doi.org/10.1556/2006.2023.00072

背景と目的 インターネットゲーム障害(IGD)とうつ病は、個人の精神的健康に悪影響を及ぼすが、その関係は複雑である。この3波にわたる縦断的研究では、IGD傾向とうつ病の関連性の根底にあるメタ認知的メカニズムを、自己制御的実行機能モデルに基づいて検出することを目的とした。

方法 中国の大学生ゲーマー1,243名(57%女性、M=19.77、SD=1.29)をベースライン調査(Wave1[W1])で募集し、そのうち622名と574名が2回の追跡調査(6ヵ月後のWave2[W2]と12ヵ月後のWave3[W3])にそれぞれ参加した。

結果 3波パスモデルでは、各変数の自己回帰効果をコントロールした後、抑うつは一貫してIGD傾向を予測したが、その逆は予測せず、一方、オンラインゲームに関するメタ認知(MOG)は否定的であったが肯定的ではなかったが、抑うつとIGD傾向の両方を有意に予測した。さらに、(i)否定的なMOG [W1] → 抑うつ [W2] → IGD傾向 [W3]、(ii)抑うつ [W1] → 否定的なMOG [W2] → IGD傾向 [W3]の2つの統計的に有意な媒介経路が同定された。

考察と結論 これらの知見は、うつ病、IGD傾向、MOGの関連についての理解を広げ、うつ病とIGD傾向に対して、ポジティブなMOGよりもネガティブなMOGがいかに強い前向き効果を持つかを浮き彫りにし、また、IGD傾向に対するうつ病とネガティブなMOGの相互媒介効果を明らかにした。IGD治療には、情動調節訓練とメタ認知療法を併用した統合プログラムが推奨される。