- Barrangou-Poueys-Darlas, M., Cabelguen, C., Garrouste, V., Leboucher, J., Rocher, B., Challet-Bouju, G., & Grall-Bronnec, M. (2022). Gaming Disorder Seen Through the Prism of Dual Diagnosis: Prevalence and Associated Factors. Frontiers in Psychiatry, 13, 821432. https://doi.org/10.3389/fpsyt.2022.821432
はじめに 二重診断(Dual Diagnosis:DD)は、少なくとも精神疾患と少なくとも嗜癖性障害の併存と定義される。DDに関する研究の多くは,物質使用障害について検討していた。2018年、ゲーム行動症(GD)が正式な障害として認められ、ICD(国際疾病分類)第11版で嗜癖性障害のカテゴリーに統合された。我々の目的は、GD患者のDD有病率を測定し、DDの存在に関連する因子を評価することであった。
方法 EVALuation of behavioral ADDictions(EVALADD)コホートの一部として、92名のGD患者を本研究に組み入れた。不安障害、気分障害、精神障害を含む精神障害はMini International Neuropsychiatric Interview(MINI 5.0.0)を用いて調査した。成人期の注意欠陥・多動性障害(ADHD)の可能性は、小児期にはWender Utah Rating Scale(WURS)、成人期にはADHD Self-Report Scale-V1.1 (ASRS)でスクリーニングされた。最後に、125項目のTemperament and Character Inventory(TCI-125)を用いて性格を、Videogame Motives Questionnaire(VMQ)を用いてゲームに対する動機を、Relation Scales Questionnaire(RSQ)を用いて愛着スタイルを評価した。GD患者におけるDDの有病率を測定するために、現在の不安障害、気分障害、精神病性障害、または現在のADHDの可能性が高いGDの発生を考慮した。また、多変量解析を行い、DDに関連する独立した因子を同定した。
結果 GD患者の半数以上(55.4%)がDDに罹患していた。ADHD(38%)、不安障害(29%が全般性不安障害,社会性不安障害、広場恐怖、パニック障害に罹患)の有病率が高いことがわかった。4つの変数がDDと有意に関連していた:自殺念慮[オッズ比(OR)=6.83,95%信頼区間(95%CI)(1.66-28.09)]、VMQ「対処」得点[OR=1.18,95%CI(1.01-1.38)]、TCI-125「被害回避」得点[OR=1.04,95%CI(1.01-1.07)]と「新奇さ求め」得点[OR=1.03,95%CI(1.00-1.06)]であった。
考察 GD患者における特定の精神疾患の有病率は、一般集団で観察される有病率をはるかに超えていた。ADHDと自殺念慮は、特にGD患者においてスクリーニングされるべきものである。DDに関連する性格的側面だけでなく、否定的な感情の管理もターゲットとする特別な介入は、新たな治療の機会となるはずである。