スマートフォン嗜癖におけるダークサイドの解明:幸福感に対する緊張と快楽的利用の調節の媒介

  • Moqbel, M., Nevo, S., & Nah, F. F.-H. (2022). Unveiling the dark side in smartphone addiction: Mediation of strain and moderation of hedonic use on well-being. Internet Research. https://doi.org/10.1108/INTR-01-2021-0003

目的
スマートフォン嗜癖と幸福感(=健康関連QOL)の媒介・調整関係を調査することである。デザイン・方法論・アプローチ236人のスマートフォンユーザーを対象に調査を行い、研究モデルを検証した。 結果
構造方程式モデリング分析の結果、スマートフォン嗜癖は重要な個人資源であるエネルギーを消耗することによって、幸福感に負の影響を与え、緊張を生じさせることが明らかになった。研究の限界・意義本研究は、資源保存理論 conservation of resources theory のレンズを通して、スマートフォン嗜癖が幸福に及ぼす負の効果を媒介する緊張の役割についての理解を深めるものである。また、本研究は実用的な意味も持っている。スマートフォン嗜癖がいつ、どのように幸福に悪影響を及ぼすのか、その根底にある媒介・調整メカニズムを探ることで、幸福への悪影響を軽減するための介入を行うことができる。オリジナリティ・価値これまでの研究では、スマートフォン嗜癖の先行要因と結果に焦点を当て、スマートフォン嗜癖効果の文脈要因や、スマートフォン中毒が幸福に影響を与える介在メカニズムは無視されたままだった。資源保存理論のレンズを通して、スマートフォン嗜癖が幸福度を低下させるメカニズムについて理解を深め、スマートフォン嗜癖が幸福度に与える影響を悪化させる関連する文脈的要因(すなわち快楽的利用)を特定することで、この文献におけるギャップを解消することができる。