スマートフォン嗜癖者における創造的アイデア創出時の脳活動および機能的結合性の低下

• Li, X., Li, Y., Wang, X., & Hu, W. (2022). Reduced brain activity and functional connectivity during creative idea generation in individuals with smartphone addiction. Social Cognitive and Affective Neuroscience, nsac052. https://doi.org/10.1093/scan/nsac052

概要 COVID-19の発生以降、スマートフォンの使用頻度が急増し、個人におけるスマートフォン嗜癖が増加している。スマートフォン嗜癖は、様々な認知能力を低下させる可能性がある。しかし、現在までのところ、スマートフォン嗜癖が創造的認知に与える影響については不明である。今回の機能的近赤外分光法（fNIRS）研究では、スマートフォン嗜癖傾向者（SAT）と健常対照者（HC）の創造的アイデア創出時の神経差を比較しました。特に、創造的認知の重要な要素である意味的制約の克服を操作することで、SAT者が意味的制約を克服できるかどうかを検討した。SAT群、HC群ともに、意味的制約条件と非制約条件において、代替使用課題（AUT）を実施した。その結果、SAT群ではHC群に比べ、AUT中に前頭前野（PFC）と側頭領域の活動が低下していることが示された。また、SAT群では、非制約条件よりも制約条件下でPFCの活性が低下した。さらに、課題関連および安静時の機能的結合解析の結果、SAT群ではPFCと側頭領域の結合がHC群より弱いことが示された。さらに、左DLPFCはスマートフォン嗜癖の創造的パフォーマンスへの影響を媒介することがわかった。これらの知見は、スマートフォン嗜癖が創造的認知に及ぼすネガティブな影響について、これまでにない神経画像的証拠を提供するものである。