アジアの医学生におけるスマートフォン嗜癖の有病率。多国間観察研究のメタアナリシス

  • Prevalence of smartphone addiction among Asian medical students: A meta-analysis of multinational observational studies—Ying Zhong, Huan Ma, Yu-Fen Liang, Chang-Ju Liao, Cui-Cui Zhang, Wen-Jing Jiang, 2022. https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/00207640221089535

要旨

背景
医学生におけるスマートフォン嗜癖の高い普及率は、身体的および精神的な健康状態の悪化に寄与する可能性がある。

目的
アジアの医学生におけるスマートフォン嗜癖の有病率を推定し、スマートフォン嗜癖の影響因子と関連するメンタルヘルス症状を探索すること。

デザイン
システマティックレビューとメタ分析。

方法
PubMed(MEDLINE)、Cochrane Central Register of Controlled Trials、EMBASEで、創刊から2021年9月10日までの関連文献を検索した。Stataソフトウェア11.0を用い、スマートフォン嗜癖の有病率および影響因子についてメタ分析を行い、95%信頼区間を決定した。

結果
2014年から2019年の間に出版された19の論文が含まれ、アジア7カ国から医学生の研究が得られた。含まれた研究はインド(n=11)とマレーシア(n=3)で行われ、中国、サウジアラビア、トルコ、ネパール、イランはそれぞれ1件の研究を提供していた。合計5,497人の医学生のうち、3,214人の女性が参加し、そのうち2,181人がスマートフォン嗜癖を持つ医学生だった。アジアの医学生におけるスマートフォン嗜癖の有病率は41.93%(95%CI [36.24%, 47.72%])であった。医学生におけるスマートフォン嗜癖の影響因子としては、性別、スマートフォン使用期間、スマートフォン機能、配偶者の有無が挙げられた。10件(52.63%)の研究では、アジアの医学生におけるスマートフォン嗜癖の関連するメンタルヘルス症状について検討されていた。スマートフォン嗜癖は、アジア人医学生における睡眠の質の低下(r = 0.17-0.31)、ストレス(r = 0.30-0.40)、不安、うつ、神経症、一般健康度と正の相関があった。

結論
スマートフォン嗜癖は、アジアの医学生に強く浸透している。スマートフォン嗜癖は精神衛生に悪影響を及ぼし、睡眠障害、ストレス、不安、抑うつ、神経症などをもたらす可能性がある。医学生のスマートフォンの使い過ぎを防ぐために、適切な予防措置や介入を行うことが必要である。