スマートフォン嗜癖尺度。青少年向け短文版の開発と検証

  • Kwon, M., Kim, D.-J., Cho, H., & Yang, S. (2013). The Smartphone Addiction Scale: Development and Validation of a Short Version for Adolescents. PLOS ONE, 8(12), e83558. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0083558

目的
本研究は,スマートフォン嗜癖尺度の改訂版および短縮版と,その妥当性の証明を青少年を対象に検討することを目的とした。また、スマートフォン嗜癖を判定するために、性別による値の切り分けを提案し、青年期のスマートフォン利用特性を精緻化した。

方法
2013年4月から5月にかけて、抽出された計540名の参加者に質問紙を提供した。対象者は男子343名、女子197名で、平均年齢は14.5歳であった。内容的妥当性の検証は短縮された項目で行い、信頼性の検証は内部一致性試験を実施した。並行妥当性は,SAS,SAPS,KS-scaleを用いて確認した.また、カットオフ値を提案するために、Receiver Operating Characteristics分析を行った。

結果
内容的妥当性を用いて、最終的に10問を選択した。SASの内的一貫性と並行的妥当性はCronbach’s alpha 0.911で検証された。SAS-SVは、SAS、SAPS、KS-scaleと有意な相関があった。SAS-SVの性別(p<.001)およびスマートフォン嗜癖の自己評価(p<.001)には有意差がみられた。ROC分析の結果、男子では曲線下面積(AUC)値0.963(0.888-1.000)、カットオフ値31、感度値0.867、特異度値0.893、女子ではAUC値0.947(0.887-1.000)、カットオフ値33、感度値0.875、特異度値0.886となり、男子の方が特異度値は高いことが示された。

結論
SAS-SVは、スマートフォン嗜癖の評価として良好な信頼性と妥当性を示した。本研究で開発・検証したスマートフォン嗜癖尺度短編版は,地域や研究領域におけるスマートフォン嗜癖の評価に効率的に利用できる可能性がある。