イランの大学生における孤独感と学業成績は、取り残されることへの不安とスマートフォン嗜癖の関係を媒介する

  • Alinejad, V., Parizad, N., Yarmohammadi, M., & Radfar, M. (2022). Loneliness and academic performance mediates the relationship between fear of missing out and smartphone addiction among Iranian university students. BMC Psychiatry, 22(1), 550. https://doi.org/10.1186/s12888-022-04186-6

概要
背景
取り残されることへの不安 Fear of missing out(FoMO)は、大学生の孤独感やスマートフォン嗜癖を高め、学業成績を低下させる可能性がある。FoMOとスマートフォン嗜癖の関係を調査した研究は先進国で多く、イランでこの関係を調査した研究はない。FoMOとスマートフォン嗜癖の関係における孤独感や学業成績の媒介的な役割は不明である。本研究では、イランの大学生を対象に、FoMOとスマートフォン嗜癖の関係、およびこの関係における孤独感や学業成績の媒介的役割について検討した。

調査方法
この横断研究では、ウルミア医科大学の学生447名を調査対象とした。データは、人口統計学的質問票、PrzybylskiのFoMO尺度、PhamとTaylorの学業成績質問票、Russellの孤独尺度、Kwonのスマートフォン嗜癖尺度を用いて収集された。データの解析には、SPSS ver. 23とSmartPLS ver. 2.を用いた。

結果
FoMOはスマートフォン嗜癖と正の直接的な関連を示した(β=0.315、t値=5.152、p<0.01)。また、FoMOは学生の孤独感(β=0.432、t値=9.059、p<0.01)、学生の学力(β=-0.2602、t値=4.201、p<0.01)と正で直接的な関連性があった。FoMOは学生の孤独感を通じて間接的にスマートフォン嗜癖と関連したが(β = 0.311, t-value = 5.075, p < 0.01)、学力はスマートフォン嗜癖の媒介とならなかった(β = 0.110, t-value = 1.807, p > 0.05 )。また、FoMOは学生の孤独感を通じて間接的に学業成績と相関していた(β =-0.368, t-value = 6.377, p < 0.01)。

結論
FoMOは学生のスマートフォン嗜癖と正の相関があり、孤独感はこの相関の重要な媒介因子である。スマートフォン嗜癖は学生の学業成績に悪影響を及ぼす可能性があるため、医療管理者は、学生が時間を管理し、スマートフォン使用をコントロールできるような実践的戦略を採用することで、学生の孤独感を軽減し、学業成績を向上させるべきである。自己管理スキルの授業の開催、学生のスケジュール管理、スマートフォンの通知オフ、スポーツの奨励、グループや家族の活動への参加は、FoMOと孤独の管理に役立つだろう。