原文は独語の模様。アブストラクトのみ英語なので読める。
- Jennifer Wernicke, 2021, Gaming – Haben Eltern einen Einfluss auf ihre Kinder ?, „Gaming“ im Kindesalter.
ゲーム – 親は子供に影響を与えるのか?
背景 多くの子どもたちがコンピュータゲームやビデオゲーム(以下、ゲーミング)をしているが、過度のゲーミングはゲーミング障害を引き起こす可能性があると言われている。その病因は、親のゲーミングの影響や子どもの注意欠陥・多動性障害(ADHD)の存在が議論されているが、まだ完全には解明されていない。目的 研究課題は、i) 親のゲームと子どものゲームに関連性があるかどうか、ii) ゲームと子どものADHD傾向に関連性があるかどうか、iii) これらの関連性は親のゲーム行動によって調整されるかどうか、であった。資料と方法は以下の通りである。249名の親(n=244名の女性、年齢:34.94±4.88歳)が、ゲーム障害テスト(Gaming Disorder Test: GDT)を用いて、自分自身と子ども(n=105名の女の子、n=144名の男の子、年齢:5.72±2.18歳)のゲーム行動を評価した。また、子どものADHD傾向は、診断チェックリストADHD(DCL-ADHD)を介して外部報告として評価した。結果は以下の通りである。親と子どものゲーミングは相互に関連があった(χ2(1)=15.52, p<0.001)。親子のGDTスコアは正の相関があった(男子:ρ= 0.34, p= 0.029、女子:ρ= 0.35, p= 0.047)。コンピューターゲームをしている子どもは、していない子どもに比べてADHDの傾向は高くなかったが、コンピューターゲームをしている男児では衝動性の傾向(ρ= 0.23, p= 0.028)が、女児では不注意の傾向(ρ= 0.38, p= 0.008)が、GDTスコアと相関していた。親のGDTスコアは、子ども全般のGDTスコアと衝動性との関係を強めた。結論 今回の結果は、親のゲーム行動が子どものゲーム行動に影響を与えるかもしれないという考えを支持するものだった。特に、ADHDの子どもでは、ゲーム障害の発症を防ぐために、問題となるゲームをできるだけ早く発見する必要がある。観察された結果は、より大規模で異質なサンプルや縦断的な研究デザインで検証される必要がある