レクリエーション・ゲーマーは認知的な努力を重ねることで衝動を抑制することができ、ゲーム障害は脳の機能障害に関連した意思決定や衝動的な制御ができない

  • Wang, Yifan, Lingdan Wu, Lingxiao Wang, Yifen Zhang, Xiaoxia Du, and Guangheng Dong. 2017. “Impaired Decision-Making and Impulse Control in Internet Gaming Addicts: Evidence from the Comparison with Recreational Internet Game Users.” Addiction Biology 22 (6): 1610–21.

インターネットゲーム中毒者における意思決定および衝動制御の障害:娯楽としてのインターネットゲーム利用者との比較からの証拠
インターネットゲームには中毒性があることが証明されているが、オンラインゲーム依存症を発症するゲームプレイヤーはごく少数である。多数のプレイヤーは、嗜癖になることなく、娯楽的にオンラインゲームをプレイしているこれらの人々は、レクリエーション・インターネット・ゲーム・ユーザー(RGU)と定義される。これまでのところ、RGUにおける意思決定と衝動制御について調べた研究はない。本研究では、遅延割引(DD)課題と確率割引(PD)課題を用いて、健常対照者20名、インターネットゲーム障害(IGD)の被験者20名、RGU23名のfMRIスキャン時の意思決定と衝動制御を調べた。行動レベルでは、RGUはIGDの被験者に比べてDD率が低く、PD率が高く、DD率とPD率については健常対照者との間に有意な差は見られなかった。神経レベルでは、海馬傍回、前帯状皮質、内側前頭回、下前頭回において、IGD患者と比較して神経反応の増加が認められた。これらの脳領域は、RGUが依存症を発症するのを防ぐのに重要な役割を果たしていると考えられる。この結果から、RGUは認知的な努力を重ねることで衝動を抑制することができ、IGDの被験者は脳の機能障害に関連した意思決定や衝動的な制御ができないことが示唆された。