インターネットゲーム障害とアルコール使用障害におけるモデル行動の神経相関

  • Kwon, M., Choi, H., Park, H., Ahn, W.-Y., & Jung, Y.-C. (2024). Neural correlates of model-based behavior in internet gaming disorder and alcohol use disorder. Journal of Behavioral Addictions. https://doi.org/10.1556/2006.2024.00006

背景
モデルベースとモデルフリーの意思決定システムの不均衡は、嗜癖性障害によくみられる特徴である。しかし、インターネットゲーム障害(IGD)においても同様の意思決定障害が現れるかどうかについてはほとんど知られていない。本研究では、IGDとアルコール使用障害(AUD)において、モデルベースとモデルフリーのシステムに関連する神経認知的特徴を比較した。

研究方法
IGD(n=22)およびAUD(n=22)と診断された参加者と健常対照者(n=30)が、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)スキャナー内で2段階課題を行った。我々は、計算モデリングと階層的ベイズ分析を用いて、彼らの選択行動のメカニズム的説明を行った。次に、各群の意思決定過程の神経相関を同定するために、モデルに基づいたfMRI解析と機能的結合解析を行った。

結果
計算論的モデリングの結果、IGD群とAUD群では、モデルに基づく行動は同程度であった。しかし、モデルベースの報酬予測エラー(RPE)の神経相関は両群間で異なっていた。IGD群では、モデルベースのRPEに関連する島皮質特異的な活性化がみられたが、AUD群では、前頭前野、特に眼窩前頭皮質と上前頭回に活性化がみられた。さらに、IGD患者では、モデルベースRPEに関連して、島皮質とサリエンスネットワークの脳領域との間に過接続が認められた。

考察と結論
今回の所見は、計算モデル解析で観察された認知的特徴は共通していたものの、IGDとAUDにおけるモデルベース行動の根底にある神経生物学的メカニズムには違いがある可能性を示唆している。モデルベースのシステムという観点からIGDとAUDを比較した初めての神経画像研究として、本研究はIGDにおける明確な意思決定プロセスに関する新たな知見を提供する。