スマートフォン嗜癖尺度。中国の大学生を対象とした心理測定特性、不変性、ネットワーク視点、潜在的プロファイル分析

  • Li, L., Niu, Z., Griffiths, M. D., & Mei, S. (2022). The Smartphone Addiction Scale: Psychometric Properties, Invariance, Network Perspective, and Latent Profile Analysis Among a Sample of Chinese University Students. International Journal of Mental Health and Addiction. https://doi.org/10.1007/s11469-022-00857-3

スマートフォン嗜癖尺度(SAS)は、スマートフォン嗜癖を評価するための一般的な測定ツールの1つである。しかし、SASの心理測定学的特性、不変性、ネットワーク構造、およびスマートフォン嗜癖のプロファイルに関する研究は、中国ではほとんど行われていない。そこで、本研究では、中国の大学生を対象に、SASの心理測定特性、不変性、ネットワーク構造、潜在的プロファイル分析について調査した。中国の大学生2531名(男性1003名[39.6%],平均年齢=20.4歳[SD=1.3歳])をサンプルとして,スマートフォン嗜癖尺度(SAS),インターネット中毒診断質問票(IADQ),問題携帯電話使用質問票(PCPU-Q)に回答してもらった。項目分析および探索的因子分析を用いて、オリジナルのSASから合計17項目を選択した。心理測定特性と測定不変性から、改訂版中国スマートフォン嗜癖尺度(SAS-RC)の妥当性と信頼性は良好であった。項目レベルおよびファセットレベルのネットワークでは、「引きこもり」と「日常生活の乱れ」がより強いエッジ強度を有していた。項目レベルおよびファセットレベルのネットワーク比較検定(NCT)により、ネットワーク構造およびグローバル強度ともに男女間に有意差はなかった。中国の大学生において、スマートフォン利用の3つのプロファイル(通常のスマートフォン利用、スマートフォン嗜癖の高リスク利用、スマートフォン嗜癖)が確認された。SAS-RCは、良好な心理測定特性と不変性を示し、中国人大学生への使用に適している。スマートフォン嗜癖の中核症状として、「離脱」(心理的依存)と「日常生活障害」が寄与しているようだ。また、3つのプロファイルは、中国の大学生のスマートフォン使用と嗜癖に関する新たな知見を提供する。